第1週1日目 1/120
Yes か No か?

実際の講義は音声でのリアルタイム講義ですが、このページはそれを文字で再現したものです。

チェックテスト

 まずは、今の時点でどれくらいできるか、解いてみてください。ここでは、解説は表示されません。

□解説

A: You are not staying at home, are you?
B: (  ), I don't feel like going out." *
(1) Yes (2) No


「はい」「いいえ」という意味の副詞(一部の辞書では間投詞と分類してありますが)、Yes No は、日本人がもっともまちがいやすいものの一つです。先日、テレビを見ていると、ある有名人がアメリカ人と英語で話していました。結構、英語ができると思われる有名人ですが、相槌を打つときに、Yes と No をまちがって使っていました。間違いだと気づいて言い直していましたが、わかっていても、なかなか反射的に出てこないようです。

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はじめに

「はい」「いいえ」という意味で使われる副詞、Yes No (一部の辞書では間投詞と分類してありますが)これなんかは、言語干渉の最たるものでしょう。日本人がもっともまちがいやすいものの一つです。先日、テレビを見ていると、ある有名人がアメリカ人と英語で話していました。結構英語ができると思われる有名人ですが、相槌を打つときに、Yes と No をまちがって使っていました。間違いだと気づいて言い直していましたが、わかっていても、なかなか反射的に出てこないようです。
 学習参考書では、このあたりのことは、「否定疑問文」で取り扱っていますが、Yes No という答え方をするのは、なにも否定疑問文(注)だけではありません。例えば、次のような文にも、Yes No で答えるはずです。

"You're not a student, are you?"(君は学生じゃないんだろ?)
"Yes, I am."(いいえ、学生ですよ)

"Don't ask him about it."(そのことを彼にきかないでよ)
"No, I won't."(うん、わかった)

"There's no need to apologize to her."(彼女に謝る必要はないよ)
"Yes, there is."(いや、あるよ)

このように、否定の付加疑問文や否定の命令文、さらに、否定文にだって、Yes No で答える場合があることをここで確認しておいてください。
それでは、いったい、Yes と No はどう区別すればいいのか、考えていきましょう。学習参考書などでよくある説明は、以下のようなものです。

「質問の肯定・否定形にかかわらず、原則として答える内容が肯定なら Yes, 否定なら No, を用いる」などとして、

Did you see her?
―Yes, I did.「はい、会いました」
―No, I didn't.「いいえ、会いませんでした」

Didn't you see her?「彼女に会わなかったのかい?」
―Yes, I did.「いいえ、会いました」
―No, I didn't.「はい、会いませんでした」

というような例をあげています。
 他の参考書を見ても、ほとんどが例文こそ違いますが、ほぼ同じことが書かれています。
 初めてこの説明を読んで、Yes No の区別が理解できた人はかなり頭のいい人だと思います。ほとんどの人はわからないのではないでしょうか? わからない人は頭が悪いというのではなく、説明のほうが悪いと思っていいでしょう。

なぜよくないか?

「質問の肯定・否定形にかかわらず、原則として答える内容が肯定なら Yes, 否定なら No, を用いる」という説明がどうしてよくないかというと、だいたい、原則として、とありますが、原則としてということは、原則に従わない例外があるということですが、ぼくがあたった参考書には、どこを探してみても、例外のことはまったく書いてありませんでした。
 というのも当然のことで、Yes No の答え方には例外はないのです。だから、原則としてというのは不要です。1つの原則でこういう問題は100パーセント解けるのです。
もう一つ、「答える内容が肯定なら Yes, 否定なら No, を用いる」という説明で、まずいなと思うのは、以下のような場合です。

"Isn't she present?"「彼女は出席していないのですか?」
"( ), she is absent."「はい、欠席です。」

もちろん、( )には、No が入るのですが、これだったら、後ろは肯定なのに、どうして、といいたくなります。おそらく参考書を書いた人は、後ろの「内容」だと書いてあるじゃないですか? いいですか? これは、( ), she is not present. She is absent.のことですから、やはり、( ) の後は否定だから、これでいいのです」なんていわれるかもしれませんが、やはりわかりにくいことは確かです。わざわざ、こんなふうに補って考えないといけないのは、めんどうです。原則として、という断り書きを入れたのは、おそらくこのへんのことを指してのことだと思うのですが……。、
最後にもう一つ、というか、最もまずい点なのですが、この説明でははっきりとした解き方がわからないということです。解法を書いてないのです。ですから、例えば、こんなすごい解き方(><)をしている生徒もいたりなんかします。

Didn't you see her?「彼女に会わなかったのかい?」
―Yes, I did.「いいえ、会いました」
―No, I didn't.「はい、会いませんでした」

というのを見て、否定疑問文に対する答えは、日本語の「はい」「いいえ」が英語とは逆になることを利用してとくわけです。

例えば、以下の問題を解くのなら、

"Don't let her go alone." --- "(  ), I'll take her home." [京都外語大]
(1) Yes (2) No 

ええっと、「彼女を一人で帰してはいけない」といっていて、答えが「(  )ぼくが家に送っていくよ」といってるんだから、日本語では、(  )には、「了解、わかった、うん、はい」が入るから、Yes だけど、英語では否定では逆になるから、No が正解だ。と、こんなふうに考えているかもしれません。
しかし、この解き方はいちいち日本語に訳して考えなければいけないので、時間がかかって、反射的に答えられません。とにかく、言語干渉の問題では、日本語で考えるというのは禁物です。間違いのもとです。Yes No の答えかたに関しては、ただ1つの単純明快な原則があるだけで、それで100パーセント正解です。解き方は簡単で、1行で説明できます。その解き方とは――、

Yes No の答え方

さて、Yes No の答え方ですが、要するに、相手がどう聞こうが関係ないのです。肯定で聞こうが、否定で聞こうが、こちらの答え方は、同じなのです。
だから、たとえば、

Are you a teacher?
You're a teacher, aren't you?

というように聞かれても、

Aren't you a teacher?
You're not a teacher, are you?

と聞かれても、答え方は同じなわけです。みなさんは、おそらく学生であって、教師ではないので、答える時には、

No, I'm not.

と答えればいいわけです。
つまり、どうすればいいかというと、

not などの否定語をとってしまった文を考えて、それに Yes か No かで答えればいいわけです。

さっきの問題をもう一度、正しい解き方でといてみてください。どっちのほうがわかりやすいかわかるでしょう。

"Don't let her go alone." --- "(  ), I'll take her home." [京都外語大]
(1) Yes (2) No 

否定語を取ると、

Let her go alone. (彼女を一人で帰らせなさい。)

といってるわけです。それに対して、

(  ), I'll take her home.(ぼくが家まで送っていくよ)

と答えているわけですから、彼女をひとりで帰らせないつもりなのですから、答えは (2)の Noということになります。Yes と答えてしまうと、彼女を一人で帰らせるということになって、I'll take her home. とは矛盾します。

まとめ

 Yes/No の答え方は、not などの否定語をとったときの文を考えて、それに答えるには、Yes か No かで決定する。

注1 否定疑問文には、
"Did you not push the button?"(あなたはボタンをおさなかったんですか)
"No, I didn't."(はい、押しませんでした)
のような形になったものもあります。



チェックテスト(解説付き)

 最初に解いた同じ問題をもう一度解いてみてください。今度は、解説が表示されます。

演習問題

理屈がわかったら、後は練習問題をなるべく多く解いてみましょう。アットランダムに出題されます。

フィードバック ご意見、ご感想は一般掲示板まで――。

□否定疑問文は今まで英語と日本語は逆、を利用して解いていましたがここを見てわかりました。(Hisysさん)
□勉強になりました!有難うございます☆(ゆーかさん)
□勉強になりました(ウッチャマンさん)
□すごくわかりやすい説明でした。(natuさん、高2)
□とても分かりやすかったです。副詞だとずっと思っていました。英語が苦手で、特に名詞とか副詞とかがよく理解できていないような気がしていたので役に立ちました。ありがとうございました。(中谷さん、高2)
□すごくわかりやすかったです(浪漫屋さん)
□素晴らしくわかりやすかったデス(muさん)







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