Some people are born with

 課題文  解説  優秀訳  正解  誤訳例

課題文

Some people are born with minimal talents and make absolutely the most of them. Others are born with large native endowments and just fritter them away. It is what you do with the gifts at your disposal that makes all the difference.
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minimal ←→ maximal
make the most of: 「〜を最大限に活かす」
cf. the most of them の形は正しいのですか??という質問がありました。――もちろん、正しい形です。ただ、これは、the most of them という単独の形ではなく、make the most of 〜 というまとまりになっています。the は最上級(ここでは、much の最上級の most)につく the です。これに対して、Most of them (=the letters)are written in English. という most of them 「そのうちのほとんど」の場合は、the はつけません。
native: 生まれつきの、先天的な
endowments: 才能 endow
disposal: 処理、処分 / at one's disposal: The money is at my disposal. そのお金は私の自由になる。/ He has a good library at his immediate dispisal. 彼は蔵書がたくさんあるので、すぐ使える。 / dispose 配置する、配列する / disposable chopsticks 割り箸
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解説

今回の課題のポイントは、最後の文、It is what you do with the gifts at your disposal that makes all the difference. です。この文を正しく訳してあれば、合格です。たとえば、It is を「それは」と訳してあるものは、強調構文であることがわかってないので、それだけで不合格としました。


■第1、2文

まずは、Some...Others... というところから――。
多くの受験生は、おそらく endowments や fritter という単語を知らないでしょう。endowments は、もしかして、endow という動詞を知っている人がいるかもしれませんが、fritter はまず知らないと思います。しかし、そんな場合でも、文の構造を見ていけば推測できます。第1文と第2文を並べてみると以下のようになります。


  Some people are born with minimal talents     and make ... the most of them. 
   ↑                         ↑                      ↑
   ↓                         ↓                      ↓ 
  Others      are born with large ... endowments and ... fritter them away.

このように整理しておけば、minimal の意味は、large の反対で、endowments の意味は、talents の反対で、... fritter them away の意味は、make ... the most of them の反対であると推測できます。
それからもう1つのポイントとして、and ですが、ほとんどの人が「そして」と訳してしまいがちですが、

              are born with minimal talents 
  Some people     and 
              make absolutely the most of them. 
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         are born with large native endowments 
  Others     and
         just fritter them away. 

というように、ならべてみると、 Some people are born with minimal talents 「わずかの才能をもって生まれる」と、make absolutely the most of them 「才能を最大限に利用する」とを考えてみると、対照的というか逆接になっていることがわかります。ということで、and は「それなのに、しかし」などと訳したほうがわかりやすいでしょう。
この文をわかりやすくまとめてみると、下のようになります。


  Some people   minimal talents            make absolutely the most of them
  Others        large native endowments    just fritter them away

後は、これをどう日本語にするかという問題だけなので、難しくはないでしょう。Some ... others 〜のペアは、「あるものは...またあるものは〜」とか「...のものもいれば、〜のものもいる」というのが基本的な訳です。


■第3文

It is what you do with the gifts at your disposal that makes all the difference.
一般に、上記のように It is ... that という構造で、ここから It is that を取ってしまっても、文として成立するなら、いわゆる強調構文(または、分裂文)ということができます。この文は、これにあてはまるので、強調構文です。
元々の文で強調したいところ(スポットライトを当てたいところ)、たとえば、Aだとすると、
It is A that ...
という枠の中に入れる言い方です。
形としては、以下のようなバリエーションがあります。
It is (was) A that (who, which, etc) ...
で、A の位置には、[名詞]か<副詞>が入ります。
※[名詞]=名詞、名詞句、名詞節 <副詞>=副詞、副詞句、副詞節
だから、訳し方としては、
□ ...なのは、(まさしく)Aである。
It was only after midnight that we went to bed.
(やっと私たちが眠ったのは真夜中をすぎてからのことでした)
とか、後ろから前に訳さないで、英語の語順どおりに、
□ Aこそ、...なのである。
It is necessity that is the mother of invention.
(必要こそが発明の母である)
などと訳すことができます。

さて、It is what you do with the gifts at your disposal that makes all the difference. ですが、この文を元の文に戻してみると、
What you do with the gifts at your disposal makes all the difference.
となります。
この文は、[What...] が S、makes が V、all the difference が O になっていて、What 節の中身は、what が do の目的語(O')、you が S' do が V'、with は、do O1 with O2 (O1 は常に what)という熟語で、「処理する」「扱う」「使う」などとという意味。
例:
A:Mother! I found a wallet on my way home today.
B:Is that right? What did you do with it?
A:I took it to the police station near my school.
B:Good for you! [センター 90-追]

the gifts は、with の目的語、at your disposal は、形容詞句として、gifts にかかっている。
訳は、make all the difference は、「すべての違いを作る」、つまり、「決定的な違いを生じる」、「重要である」ということですから、「重要なのは、[What...]だ」としておけばいいでしょう。
それから、強調構文は、スポットライトを当てるいいかただと書きましたが、たとえば、
It was yesterday that Tom found the key.
という文があった場合、「トムが鍵を見つけたのは、(今日でも、一昨日でもなく)まさに昨日なのだ」というように、「昨日」と「昨日ではないその他」のコントラストを頭に描いています。
課題文の場合は、「大切なのは、(才能があるかどうか、才能が豊かか、少ないか、そういうことではなく)与えられた才能をどう使うかだ」ということを言っています。

最後に、今回の解答は12月30日にアップロードする予定でしたが、結局、いろいろと解説を書いてしまっていて、本日。1月2日ということになりました。
今回の文章はなかなか文法的に解説するところが多く、まだこれから、何度か改訂していかないといけないと思っています。
余談ですが、当サイトの各ページの一番下には、アクセスするたびに名言を表示するようにしてあるのですが、偶然、今回の課題文と同じ趣旨のものがありました。
We don't need more strength or more ability or greater opportunity. What we need is to use what we have. (Basil S. Walsh)

レファレンス――強調構文(準備中)


優秀訳 (*^_^*)お寄せいただいた中から合格基準を満たしているもの

生まれ持った才能が限られたものでも、それを最大限に活かすことができる人がいる一方で、天賦の才に恵まれていながら、それをものにできない人もいる。才能をどのように活用するかこそが、大きな違いとなって表れるのである。(meekさん、社会人)


評価:9.5/10
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訳してしまうと冗漫になってしまう、absolutely / just / at your disposal などを訳さなかったので、引き締まった文になって、いいと思います。ただ、大学入試ではこの訳し方はあまり勧められませんが――。訳文の第1文が少し冗漫な感じがしたので、マイナス0.5ということにします。


あまり才能を持たないで生まれ、それを最大限に活用する人がいる。多くの才能を持って生まれ、それを浪費するだけの人もいる。重要なのはあなたが授かった才能をどのように使うかである。(あいうえおさん、浪人)


評価:9.5/10
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この訳もほとんど問題はありません。おそらく実際の入試なら、ほぼ満点に近いでしょう。あえて言えば、第1文と第2文が相関構文であることをもう少しわかりやすくしておいたほうがいいということと、「あまり才能を持たないで生まれ」というのが少し不自然だということでしょうか。


最小限の才能しか持ち合わせずに生まれて最大限にその才能を利用する人もいれば、豊かな才能を持って生まれながらその才能を無駄にしてしまう人もいる。そういった違いを生じさせるものは、どのようにもできる生来の才能をどう扱うかということ、これなのである。 (直己さん、社会人)


評価:7/10
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×どのようにもできる生来の才能を
×どう扱うか
×これなのである
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強調構文であることを理解して訳しているということがわかります。「しかし、……これなのである。」というのはかなりぎこちないような気がします。

正解 (*^_^*)

生まれ持ってきた才能はわずかでも、それを最大限に活用する人がいる。一方、豊かな才能にめぐまれながら、ただ浪費する人もいる。重要なのは、自分の持っている才能をどう使うかだ。(管理人・訳)
わずかな才能を最大限に活かす人もいれば、豊かな才能をただ浪費する人もいる。自分が持つ才能をどう使うか、それこが重要なのだ。(管理人・訳 かなり意訳です)

ポイント:

誤訳例 (×_×;)

ごくわずかな才能を持って生まれ、それらのほとんどを完全に使い切る人もいれば、生まれつき多くの才能を授かっていながらそれらを無駄にしてしまう人もいる。その全ての違いはあなたが授かった才能を持ってどう処理するかにかかっているのだ。(naokoさん、高3)

評価:7/10
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第1文の「それら」は「その」「それ」のほうがいいでしょう。同じく第1文の「使い切る」というのはここでは不適切です。第2文の「処理するか」(処理するの目的語は何ですか? もし「才能」なら、ふつう「才能を処理する」という言い方はしません)というのも減点です。

ある人は生まれるときはあまり才能がないが、後から作り上げているのである。しかし、他の人は生まれつき豊富な才能があるが無駄にしているのである。つまりこれらの才能は自分がどう扱うかによって変わってくるのである。(いなんさん、高1)
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評価:5/10
×後から作り上げていく
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下線部の和訳、「つまり――変わってくるのである」とありますが、才能は、変わるものではありません。


ほんの少しの才能を持って生まれてきて、そのほとんどを発揮する人もいれば、生まれついて大きな才能を持ち、それを無駄にしてしまう人もいる。このことは、あなたがもらった贈り物を自由にしてよいということとは、全く違うことだ。 (Liveさん、高2)
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評価:0/10
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下線部の和訳は致命的な誤訳です。この文を書いた人がいいたいことをまったく理解していません。わからない単語や熟語を辞書で引いて、その訳語を適当に書いていっただけのものです。一度、これをだれか友達に見せて、意味がわかるかどうか聞いてみてください。
―― that makes all the difference の主語がわからないです。。とのことですが、もちろん主語は、what you do with the gifts at your disposal です。


※今回、送信された和訳の中で、第3文を訳していないものがありましたが、これは、採点対象外になりますので、ここには掲載してありません。

参考:
何人かの人々は最小の才能と生まれて、絶対にそれら(ほとんどの)作ります。他のものは大きな在来の基金で生まれて、それらをちょうど徐々に空費します。違いをすべて生ずるのはあなたが自由に贈り物で行うことです。   (エキサイト翻訳)
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評価:0/10
しかし、自動翻訳の文章というのは、シュールリアリズム文学っぽいというか――。